映画「パルス」

クリスティン・ベルの映画初主演作となった「パルス」は、2006年に公開されたアメリカのホラー映画です。黒澤清監督の日本のホラー映画「回路」のリメイク作品であり、2008年には続編「Pulse2:Afterlife」がオリジナルビデオとして、アメリカで発売されました。インターネットの回線を伝って悪霊たちが登場人物たちに襲い掛かってくるというストーリーとなっており、一部のファンにカルト的な人気を誇る日本版と合せて多くのホラーファンの心を掴んだ作品となっています。

ストーリー

コンピューターオタクでハッキングが趣味の大学生ジョシュは、ある日突然学校から姿を消してしまいます。同じキャンパスで学ぶジョシュの元恋人・マティは、彼にまだ未練があり、連絡がとれなくなったことでとても心配していました。そんな時ジョシュから留守電のメッセージが入っていることに気が付きます。マティはその声の様子に違和感を感じ、すぐさまジョシュのアパートへと駆けつけますが、出てきたジョシュの変わり果てた姿にマティは驚きを隠せません。うつろな目で声を掛けてもまともに反応しないジョシュ。部屋の奥へとふらりと入っていく彼を追ったマティが見たのは、電話線で首を吊ったジョシュの姿でした。マティは未練のあった恋人が死んでしまったことに加え、その不可解な死に方によってトラウマを抱えてしまいます。誰かに相談しようにも、みんなそのことを話してもその異様さは中々伝わらないのでした。ジョシュが自殺してからというもの、マティの周りでは次々と奇妙な現象が起こり始めます。友人たちとのチャット中に、死んだはずのジョシュのアカウントから「助けて」というメッセージを受信したのでした。いたずらにしては達の悪いこのメッセージの謎を解くため、マティの友人ストーンがジョシュのアパートへと行き、彼のパソコンを探しますがパソコンは見つかりませんでした。そればかりか、ストーンとはその後連絡が付かなくなってしまいます。友人たちが彼の身を案じている中、しばらくすると、彼は突如パソコンの画面にシミによって蝕まれた体で出現します。その画面を見た別の友人も突然消え、ついにはマティの目の前で彼女のルームメートの身体が崩壊してしまうのです。怯えるマティでしたが、彼女はデクスターという名の男がジョシュのパソコンを手に入れたことを突き止め、彼の元を訪れます。マティはデクスターを問い詰めますが、パソコンは一度も起動していないというのです。その証拠にと二人でジョシュのパソコンを起動すると、画面には「幽霊に会いたいですか?」という不気味なメッセージと、憔悴しきった様子の沢山の人々の映像が出てくるだけでした。そのころ、アメリカ全土でパソコンのモニタ越しに亡霊を目撃した人間が謎の死を遂げるという怪事件が多発していました。この現象は世界中に広まりつつあり、人々を震撼させていました。マティとデクスターはこの事件の原因がジョシュにあることを突き止めます。ジョシュは触れてはいけないウイルスに触れてしまい、異世界に閉じ込めていた亡霊たちを解き放ってしまったようなのです。責任を感じたジョシュは何とかそれを食い止めようとしていたのですが、その前に体を乗っ取られてしまい、自殺させられたのです。マティとデクスターは、ジョシュが最後に開発したウイルスを食い止めるためのソフトを発見し、彼が最後に遭っていた人物へと接触を図ります。しかし、その男は亡霊の影におびえ切っていて、部屋から出ようとしません。男は「ソフトなんて効かない、もう何をしても無駄だ」と吐き捨てます。仕方なく二人は、ウイルスを作り出した研究所へと向かいます。亡霊に捕まりそうになりながらも、何とかパソコンにたどり着いてジョシュのソフトを起動させます。これでやっとウイルスが無くなると安心しきった二人。しかし、男の言う通り、ソフトに効力はなく、結局は亡霊たちを止めることはできませんでした。二人は急いで車に乗り込み、街から逃げ出そうと試みます。車中のラジオでは、携帯などのモバイル機器から亡霊が侵入すること、霊に襲われたら電波の届かないところへ行けば助かることが放送されています。二人は真っ直ぐ車を走らせ、電波の届かない場所を一目散に目指すのでした・・・。

キャスト

  • マティ・・・クリスティン・ベル
  • デクスター・・・イアン・サマーホルダー
  • イザベル・フエンテス・・・クリスティーナ・ミリアン
  • ジョシュ・・・ジョナサン・タッカー
  • ストーン・・・リック・ゴンザレス
  • ティム・・・サム・レヴァイン

スタッフ

  • 監督・・・ジム・ソンゼロ
  • 脚本・・・レイ・ライト、ウェス・クレイヴン
  • オリジナル脚本・・・黒澤清
  • 製作・・・マイケル・リーヒイ、ブライアン・コックス、ジョエル・ソワソン、アナント・シン
  • 製作総指揮・・・ハーヴェイ・ワインスタイン、ボブ・ワインスタイン
  • 音楽・・・エリア・クミラル
  • 撮影・・・マーク・プラマー
  • 編集・・・カーク・モッリ、ロバート・K・ランバート、ボブ・モーリ
  • 製作会社・・・ワインスタイン・カンパニー

和製ホラーとハリウッド・ホラー

「リング」に始まり、「呪怨」「感染」「仄暗い水の底から」「着信アリ」などジャパニーズホラーが世界中で人気を得たのも記憶に新しいことです。この映画「パルス」の元となった「回路」も、そんなジャパニーズホラーブームまっただ中の2001年に製作されました。日本のホラーの怖いところは、得体の知れない“何か”が、すぐそこまで迫っていることを感じながらもどうしようも出来ないという点にあると思います。「回路」は、その路線をしっかりと守りつつ、地味ながら不気味さと心の奥底に沁み渡る悲しさみたいなものも携えた、とてつもなく怖い、そして切ないホラー映画でした。そんな映画をハリウッドでリメイクするとどうなるのか、非常に気になっていました。私の中のハリウッド・ホラーは、日本のソレよりも派手で、幽霊など恐怖の対象もおどろおどろしいというよりは「化け物」っぽい分かりやすさがある、というイメージがありました。そういった分かりやすさは「回路」には不吊り合いな気がしていたのですが、実際に見てみると、これが中々よかったです。「回路」のストーリーの分かり難さを省き、亡霊の怖さはそのままにVFXをふんだんに使ってちょっとだけ豪華に仕上げてあって、見応えがありました。確かに悪い意味でのハリウッドっぽさ(繊細さに欠けているとか、じめじめした感じが足りないとか)も見られたのですが、きちんと原作を理解し、どこが怖いのか研究している感じがして好感が持てました。最後の終わり方もハリウッドにありがちな全部スッキリ解決というのではなく、結局どうなったのか分からない、モヤモヤ感を残すエンドというのが、私はとても好きでした。日本のホラーのリメイクは失敗作が多いですが、この「パルス」は成功と言えるのではないかと思います。

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