映画「月の輝く夜に」

シェールがアカデミー主演女優賞を獲得した映画「月の輝く夜に」は、1987年にアメリカで制作されたロマンティック・コメディです。第60回アカデミー賞では主演女優賞の他に作品賞を含む6部門にノミネートされ、助演女優賞、脚本賞も受賞しました。婚約者が母親に会うために故郷に帰っている間に、その弟と恋に落ちてしまったイタリア系アメリカ人女性の物語です。それまで地味に生きてきた女性が恋をしてきらきらと輝き始める様子をシェールが見事に演じています。

ストーリー

ニューヨークのリトル・イタリーは昔からイタリア系の大家族が多く住む地域です。そのうちの一家の娘ロレッタ・カストリーニは37歳。数年前に夫を亡くした未亡人で、今はすっかり容色があせてしまっていました。そんな彼女に幼馴染のジョニー・カマレーリが求婚してきます。気の乗らないロレッタでしたが、断る理由もなく、プロポーズを承諾しました。彼女はジョニーからの求婚を父のコズモ、母のローズに伝えますが、彼らもあまりいい顔はしません。ローズに至っては、娘が相手のことを愛していないと知るや、「そりゃよかった。男をいい気にさせちゃいけないよ。」と言い放つほどでした。1ヶ月後の式を前に、ジョニーはシチリア島にいる危篤の母へ報告するために帰郷します。ジョニーはロレッタに、長らく絶縁状態にある彼の弟ロニーにあって、結婚式への出席を頼むようにと言付けます。かくしてロレッタは、パン工場で働くロニーのもとを訪ねますが、彼は兄の婚約者に対しても愛想がありません。ロニーの片腕は義手で、その事故の原因を作ったのが、ほかならぬジョニーだったのです。同情したロレッタは彼のアパートに行き、スパゲッティを作ってあげますが、そこでいきなりロニーはテーブルをひっくり返し、ロレッタにキスを浴びせかけてきます。突然の出来事に呆然となるロレッタでしたが、彼女もせきを切ったようにキスを返し、2人はそのまま関係を持ってしまうのでした。

久しぶりのデート

翌朝、後悔の念に押しつぶされそうになっているロレッタを見たロニーは、最初で最後のデートとしてオペラを観に行こうと誘います。それさえ付き合ってくれたらすっぱり諦めるという条件を付けて。ロレッタも承諾し、アパートを去るとデートの準備を始めます。久しぶりに美容院に行き、白髪を染め、シックなドレスと靴に身を包んでメトロポリタン・オペラに現れた彼女は、まるで別人のようでした。ロニーも彼女の姿に改めて惚れ惚れと見とれてしまいます。ところが、同じ劇場のロビーでは父コズモが若い女性と連れだって歩いていました。一方で母のローズはひとりビストロで食事をしていたのですが、同じく一人客だった大学教授のペリーと意気投合し、同席で食事を楽しみます。そしてロレッタとロニーはというと、オペラ鑑賞の後、お酒を飲んでいるうちに名残り惜しくなってしまい、再びロニーのアパートへ舞い戻ってしまうのでした。月が煌々と輝く夜、三者三様の恋が始まっていたのでした。

ハッピーエンド

翌日、ロレッタの一家が住むアパートの部屋にロニーが突然訪ねてきます。求婚しに来たのか、はたまた別れを告げに来たのか・・・。タイミングの悪い事に、そこへシチリアから帰ってきたジョニーも加わって、事態は一触即発かと思われました。しかしその重苦しい雰囲気は、ジョニーの意外な一言で消え去りました。ロレッタとの結婚を母に告げたところ、危篤状態だったはずが急に元気になり、しかも結婚に大反対しているというのです。愛するマンマ(母)の言うことには逆らえない・・・との情けない兄の嘆きを、これ幸いとばかりに喜んだのがロニーでした。ロニーはロレッタがジョニーに返却した婚約指輪を奪い、ロレッタに改めて愛の言葉を送って結婚を申し込みます。今度はロレッタも快く受け入れました。そして、ひとり納得のいかない様子のジョニーをよそに、ロレッタとロニーの結婚を一家で温かく祝うのでした。

キャスト

  • ロレッタ・・・シェール
  • ロニー・・・ニコラス・ケイジ
  • コズモ・・・ヴィンセント・ガーディニア
  • ローズ・・・オリンピア・デュカキス
  • ジョニー・・・ダニー・アイエロ
  • リタ・・・ジュリー・ボヴァッソ
  • ペリー・・・ジョン・マホーニー
  • モナ・・・アニタ・ジレット
  • ウェイター・・・ジョー・グリファシ

スタッフ

  • 監督・・・ノーマン・ジュイソン
  • 脚本・・・ジョン・パトリック・シャンリィ
  • 製作・・・ノーマン・ジュイソン、パトリック・パーマー
  • 音楽・・・ディック・ハイマン
  • 撮影・・・デヴィッド・ワトキン
  • 編集・・・ルー・ロンバード

月の綺麗な夜には不思議なパワーがある

もう30年近く前の映画ですが、今見ても色あせていないロマンティックさ、温かさがあります。シェールとニコラス・ケイジという濃ゆい組み合わせでちょっと胃もたれしそうだなと思いながらみたのですが、シェールはとても美しく、おばちゃんなんだけどかわいらしさがあり、ニコラス・ケイジはまだ若くて髪の毛もふさふさしていてちょっとかっこよく見えました。37歳でも恋はするし、その親世代でもちょっといい出会いがあったら心がときめくのだということを教えてもらいました。女の人は恋すると凄いですね。丸っきり見た目が変わったりするのですぐにわかってしまいます。ロレッタも一夜の過ちだった割りにはノリノリでしたし、その後美容院に行って白髪を染めたり、キラキラした靴を買ったりする様子は恋する少女状態でした。描き方を間違えたらドロドロのストーリーになってしまうような設定ですが、それをコミカルにとても軽妙に描いているあたりに脚本の上手さを感じました。不倫も浮気も褒められたことではないですが、この映画の登場人物たちに限っては丸く収まってよかったねと祝福したい気持ちになりました。とっても明るく、ハッピーな気持ちになれる映画なので、金曜日の夜にお酒を飲みながら観たりするといいと思います。

Page Top